他分野のCIO育成制度

他の分野のCIO育成制度

1.CIOの制度と歴史

情報統括役員(CIO: Chief Information Officer)とは、組織における情報戦略の責任者を指す。1970年代、米国企業において誕生した概念であり、1980年代に入り次第に普及した。米国においては、1990年代に企業CIO・行政CIOの教育過程が誕生し、2000年代、日本にもCIOの概念が輸入され、米国に遅れた形で養成課程が整備されつつある。

2.米国CIOの特徴と養成課程

CIO先進国である米国のCIO養成課程としては、米政府が定めた連邦CIO資格証明に必要な知識・能力(コア・コンピタンス)の習得を1~2年で目指す修士課程がある。コース受講生は2/3が政府・自治体の役人、残りが企業人となっており、官民をあまり区別しないのが米国流のCIO養成と言われている。
カリキュラムは、「1. 政策と組織」、「2. リーダーシップと管理能力」、「3. プロセス・変革の管理」、「4. 情報資源戦略・計画」、「5. IT成果評価のモデル・手法」、「6. ITプロジェクト・プログラム管理」、「7. 資本計画と投資管理」、「8. 調達」、「9. 電子政府・電子商取引」、「10. 情報セキュリティと情報保護」、「11. エンタープライズ・アーキテクチャ(EA)」、「12. 技術経営と評価」という12項目に渡るもので、さらに83の中課題に細分化され、562の学習目標を修めるよう定められている(1)。

3.日本におけるCIOの特徴と養成課程

3.1『CIO育成のためのコアコンピタンスと学習項目の調査研究』

日本においても、2000年代に入りCIOの導入とその養成に関する議論が生じていた。そこで経済産業省は、CIOの養成において先行している米国CIOのコア・コンピタンスと学習項目を調査したうえで、2004年、日本の行政機関の特徴を加味したうえで、アクセシビリティなどの重要項目を付加した日本版CIOのコア・コンピタンスと学習項目案を提示した(2)。この報告では、CIOの位置づけや、必要な能力、活躍できる体制、人材の育成などについての考察の他、学習項目の整備とスキル管理などの方策についても検討している。

3.2 CIO養成のための大学院教育 (教育機関)

大学機関におけるCIO養成コースとしては、早稲田大学 大学院国際情報通信研究科の「CIO・ITコース」が挙げられる(3)。このコースは、日本初の本格的CIO養成大学院として、米国のCIO養成課程に準じた形で2年間の修士課程として2004年に開設された。企業CIOに加えて、自治体や電子政府のCIO養成を視野に入れており、米国のCIO養成課程とも提携している。

3.3 自治体CIO育成研修 (総務省)

地方自治体の職員を対象としたCIO育成研修としては、レガシーシステムの改革や電子自治体の構築、情報システムの適切な調達、地域情報化等に総合的に対応できる人材の育成を目指して総務省が実施している「自治体CIO育成研修」がある(4)。実際の研修は、地方公共団体の情報システムの改革やシステム連携基盤の構築を推進している全国地域情報化推進協会(5)が担当しており、1年間を掛けて、「ITガバナンス」「投資・評価」「全体最適化」「運用管理」の4つのテーマについて、それぞれ1週間の集合研修を中心としつつ、eラーニングサイトを用いた遠隔教育による事前学習と事後学習を組み合わせる形で実施されている(6)

3.4 CIO育成研修会 (経済産業省)

また、経済産業省は、情報技術の活用により中小企業の経営改革を行うCIOを育成するため、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、特定非営利法人ITコーディネータ協会と共に2004年度より「IT経営応援隊(中小企業の経営改革をITの活用で応援する委員会)」を設置し、「CIO育成研修会」を地域別に開催している(7)。この制度では、IT経営教科書やCIO育成テキストなどの作成を通じて、中小企業のCIO育成を支援している。

参考文献

  • (1) 小尾敏夫・岩崎尚子「CIOに必要な83の能力」日経情報ストラテジー,2007年5月号,p.89.
  • (2) CIO育成のためのコアコンピタンスと学習項目の調査研究
  • (3) 早稲田大学大学院国際情報通信研究科
  • (7) IT経営応援隊 CIO育成研修会

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